第三章

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 教室に向かうと、全員が集まっていた。先ほど出て行ったはずの荒川もいる。 「どうだった新庄?」 「大事無いってさ」  皆が胸をなで下ろした。途端にひそひそと耳障りな声が響いた。 「ほら、いったじゃん。大丈夫だって」 「ね、ていうか倒れる新庄の方が問題なんじゃない?」 「病弱キャラじゃねぇだろ」  けらけらと笑いあう荒川と囲いの女子。不快だ。 「しかし、これじゃあ劇出来ないね~」 「まぁ、仕方ないじゃん?」 「えぇ~でも文化祭中暇じゃん? 何する?」  不愉快だ。 「新庄のやつもあんなに気張らなくても良かったのにね~。てきとーでいいのにてきとーで」  そこまで聞いた所で、遂に俺の堪忍袋の尾が切れた。 「ふざけんな!!」  突然の怒声に教室が静まりかえった。皆がこっちを見てくる。前なら気圧されていたところだが、怒りに身を震わせる今の俺には些末なことだ。 「今までの新庄の姿を見て何も思わなかったのかおまえ等は!」  あんなに必死に働いてたのも。 「俺は思ったね、すげぇ~なって。あぁいう風になりたいって思ったよ」 なんてまぶしいだって。
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