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ちょっとそれ酷くなぁ~い?と周囲で笑いが起きる。そうだ古谷君に失礼だろ! ん? 古谷?
「え、俺?」
思わず声が出た。教室中に俺の素っ頓狂な返事が轟いた。やめろ皆黙らないでくれ、あと珍しいものを見るような顔も。俺も一応喋れるんだ。
「でも古谷って部活やってないだろ?」
「そうそう、真面目そうだし出来るって!」
部活は帰宅部で立派に活動しているし、あと教室で黙り込んでるだけで真面目と決めつけるな、俺はまじめに不真面目だ!
「いや、でも……」
反論しようとするが、周囲からの視線が痛い。早くしろよと苛立った視線が刺さる。先ほどまで同じ側だっただけに心苦しいことこの上ない!
それでも何か言おうとするが、なんと壇上にいた新庄が目の前にまで駆け寄ってきてた!
「古谷! 私からもお願い!!」
うわ、近っ、睫毛なげぇ~。咄嗟の出来事に頭が回らず、とりとめのないことばかり考えてしまう。
気が付くと、俺が呆然としたまま時間だけが経っていた。
やばい、皆見てるし何より新庄の目力が凄い!! なんか、何か言わなくては!
「い、いいよ……」
「やったぁー!」
しまったぁ! 何を言っているんだ俺は!! 押しに負けてつい快諾してしまった……。これでは新庄に怪しげな壷を売りつけられても断れないぞ俺よ。坪なら欲しいけどなぁ。
「はい、というわけでこれから私と新庄で劇を回していきます!」
今度の拍手はまばらだ。まぁ仕方あるまい。
仕方ないからてきとーに仕事はこなそう。そしたら、それなりにこのクラスにも打ち解けられたり。
淡い希望を抱いていた俺に、新庄は更に衝撃的なことを言った。
「というわけで、今回の舞台監督及び、主役が決定しました!」
新庄の発言に、誰もが固まった。なんなら俺のほうが固まった。
え、どういうこと? 悪い冗談かドッキリか新手のいじめ?
いやいや嘘だと言ってくれ、新庄!!
しかし、壇上の新庄の微笑みは冗談などではない如実に物語っていた。
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