本屋に入ってみたならば。

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本当に、わけがわからなかった。 普通本屋といえば、新書があり、文庫があり、雑誌があり、参考書があり、専門書があり。 棚だろうが平積みだろうが、とにかく、本が溢れているものだ。だからこその本屋だ。 間違えたかと思い外に出たが、店の看板には間違いなく、本屋、と表記されている。 しかし、店の中には、やはり本はない。 6畳程の店内には、見渡す限り、本、と呼べるものはなく。というか、全く何もなく。 クリーム色の壁に囲まれた、ただの空間が、そこにあった。 唯一あるとすればカウンターくらいだが、そこにも、店員らしき人影は無く。 まだオープンしていないのか、とも思って外に出たが、どうやらしっかり開店しているらしい。 しかし、本は無い。ならば何を買えと言うのだ。
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