つづきです。2話目です。

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事務所の奥。薄暗い扉が少しだけ開いた。 ぼそぼそと声が隙間から聞こえてくる。 逃乃「社長。また徹夜ですか?」 返事はない。しかしなにやら呪文のような言動が聞こえる。 繰り返し、繰り返し聞こえる言動は、まとめると下記のような内容だ。 お祓いとは会話 但し意思の疎通が条件 見えないモノと、見えない振動を音声と意思で結ばなければ発動しない そこに善悪は伴わない 具体的には、そう。通常の会話では2者の間で聞こえる音声と認識できる知識が有れば会話は成立する しかしお祓いは、認識する専門の言葉を一方に視聴させ、一方に思考させる必要がある その認識できる空間内が整い、初めて経文は意味を成し、そして発動する 原因となる3人目の霊が傍観者として同期する事で、初めて発動の条件が整うと言えるのだ 物質、時間、場所は伴わない 距離や時空すら無縁 これが経文が人でない場から得た知識と別の何かからに由る理由と根拠だ 私はこれを体験してしまった よって否定する間もなく把握したこと、実際に祓った事で今がある と言うわけで、握り飯が必要なのだ。握り飯を持て。逃乃よ 逃乃さんは、師匠が何を言っているのか。何を説明しているのか。 この言葉で切り返す。 逃乃「なるほど。わからん」 と言うことがよく分かったが、握り飯を食べたいんだなと思った。 ドアの隙間から聞こえるその声は、ゆっくりとこう言った 良いんですよ。今はこれを伝える手段さえあれば、それで充分なのだから 逃乃「怖っ。この会社怖い怖すぎる」 北崎「えーなにそれー。パワハラじゃね?」 はっきりとドアの隙間からその声は聞こえた 逃乃「社長。せめて普通に会話とかできないんですか?」 ドアの向こうに向かって、淡々と言動を放つ、勇敢なパート職員さんであった 北崎「もうっ。このお茶目さんっ」 ダメだ。とりあえずこの人ダメな人だ。と、逃乃は思ったそうな
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