第3話。現在のお祓い状況をご覧ください

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第3話。現在のお祓い状況をご覧ください

北崎「空間認識の基準を」 いきなり言い出す北崎しかし、なんのためらいもなく逃乃はこう続けた。 逃乃「変換します」 この世は善と悪。利用する側とされる側。 言葉は洗脳に支配され。 論述ですらその催眠の枠に縛られている。 言葉そのものが呪い。 それに気づく者がここに居る。 北崎。 彼は人であるが人だけではない。 別の惑星から情報を得てその知識を得た者を知り、理解した。 体験した者に出会い、音と距離の概念が違う世界を知った者を目撃した。 北崎は飢えていた。 この世の理不尽と無意味な争いに。 この世の意味の無さに。 その不安を一瞬で吹き飛ばすこの感覚を持つ者は。 ただの女子だった。 逃乃「人生逃げるが勝ち。逃げて逃げて逃げまくれ」 北崎は今日も目撃する。 異世界の音を聞いた者の言葉と行動に。 ピッ。 スマートフォンの動画録画を終えた逃乃。 それを別のスマートフォンの前に置く。 録画を再生。 逃げて逃げて・・・・と音声が流れ出す。 それを別のスマートフォンで録画しつつ。 逃乃「さあ。成仏の時間ですよ」 北崎「あいよ」 返事と同時に両手を叩く北崎。 パン!と音が再生の音声を一瞬掻き消した。 北崎「人の意識は言葉の通じると同時に総ての物事。善悪総てを想う事也」 瞬間言葉が続く。 逃乃「ピクシー」 録画されたスマートフォン2台から、声が聞こえる。 微かな子供の声「・・・ここに居るの。会いたい・・・・人が居るの」 繰り返し。繰り返し。その声は録音されていた。 北崎「はい。成功」 にこやかに微笑む北崎。 それを冷ややかな視線で答える逃乃。 逃乃「また突然使いましたね・・・・」 彼女は10年間異世界の夢を見続けた女の子。 ラク『どうも。呼ばれました?』 二人の脳裏に直接声が聞こえる。 ラク『今日の人数は1名です。距離は・・・・』 情報らしい何かを伝えるその声を。 北崎はとても嬉しそうに聞き入るのだった。 これが・・・・アルペジオの世界だ・・・・。 北崎は今日も人生を謳歌している。 逃乃「・・・・はあ・・・・また握り飯もらいにわざわざ・・・・」 逃乃のため息はとても長かった。
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