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4話 北崎と逃乃
他人を支配したい。命令しないと気が済まない
言い方は直接的過ぎるかも知れないが、これが今の世の現実だ
とても残念な気持ちになってしまう
人のために尽くし、生きると思い込まないと生きられない悲しい世界だ
でも逃乃は違った
それは面接の時
北崎「何故他にも企業があるのに、当社を希望されたのですか?」
逃乃「他にも受けてますよ、自惚れないでください」
いや、そうだろうけど・・・言い切るなよ。凄いなこの子
これが北崎の逃乃への出会いであった
当然断るつもりで最後に、決まり文句をぶつけてみる北崎
北崎「何か最後にご質問はありますか?」
逃乃「勘をどうお考えでしょうか?」
面接で勘?何を言ってるんだこの子は
北崎「真面目な質問をお願いします」
逃乃「勘と言うのは、その個人が経験した生活から得た答えだと私は理解しています。これに同意してくれる方と私は仕事をしたいと思っていましたので質問しました」
驚いた。よく考えてみればその通りだ。この子、頭が良いのかもしれない
北崎「なるほど。それは失礼しました。私の理解が及びませんでした。確かにその通りかも知れませんね。ですが、仕事内容に近い意味での質問は他にありますか?」
逃乃「他人を支配しようとしないのであれば純粋な目的の為に行う手助けをしたいと思っています。御社ではそれが可能でしょうか?」
北崎「支配ですか。正直競争社会の中で指示や命令の多い現在社会においてに限っては、純粋な目的のみに沿った手助けは物理的に見れば不可能でしょうね」
逃乃「予測して動く事でしか手助けに近しい行為は難しいと?」
北崎「そうですね。お金に絡む出来事を含みますので、そうでしょう」
その時だった
大きな揺れ。地震だ。いきなり上下に大きく動き、長く大きな横揺れがきた
北崎「うお」
棚が北崎に覆いかぶさる形で倒れてきた
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