19年越しの速達。

「なぜ？」
十九年間、いつもどこかで
そう問い続けてきたように思う。

「因果関係とは原因と結果の関係である。結果の背景には必ずその原因が存在する。その因果関係をみつめ続ける。なぜ？を問い続ける。そうすれば必ず答えは見えてくる」

ビジネス・マネジメント・セミナー第一回課題であるロジカル・シンキング（論理的思考）のテキストにはそう記されていた。
今月の誕生日で三十九歳になる。同期の中でも出世は遅いほうではない。四年前に三十年のローンを組んで家を建てた。同い年の妻と今年中学生になった娘。幸いにも両親も健在だ。
ここまでは少なくともボーダーからはずれた人生だとは思わない。しかし、今日と同じ明日を保障するものがなにもない時世だ。
そんな漠然とした不安から会社が課長職を対象に推奨するビジネス・マネジメント・セミナーの受講を決めた。

事前自己学習用の膨大なテキストと課題。毎月一回その成果を試される休日返上の一泊二日研修合宿。全六課題。半年にも及ぶハードなセミナーであることは十分覚悟しての決断だ。
出世欲とかそういうこととは違う。単に自分の身に保険をかけるような感じだ。いつ何時リストラされない為の対抗アイテムは、少しでも身に着けているに越したことはない。大学時代にハマったファミコンゲームで身に染み込んだＲＰＧ（ロールプレイングゲーム）的対処発想から決めたことだ。