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スッと目の前の障害物がなくなった。
風は私を包み込む。
あと3歩 自由
あと2歩 自由に
あと1歩 自由になれる。
空を全身で掴むように
静かに私は飛んだ
淡い視界が、正確になってゆく。
初めての景色に戸惑いながらも、爽やかな空をみる。
「ここは、どこ、、」
腕につながったチューブ。1本ではない。
喉につながったチューブ。声がだせない。
状況を理解できぬまま、
看護師と思われる女性がカーテンを開けた。
「あすかちゃん、いつもの時間よ」
そういって慣れた手つきで体温を測る。
ベットの隣のテーブルに
いくつかの手紙があるのを確認した。
筆跡は、、小学か中学くらいだろうと思われる。
ーーー明日伽ちゃんへ。
明日伽という名に覚えはない。
私の本当の名前は、、あれ、でてこない。
看護師はすぐに去っていった。
聞きたいことが山ほどあるが、声がでない。
細い腕と髪の間を心地よい風がとおる。
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