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プロローグ
君は冒険を夢見たことはあるかい?
冒険に憧れる若者は皆、【冒険譚】。この本を見ている。
書かれていることは簡単に述べてしまうと…
一人の若者がある事をきっかけにし、まだ地図に載っていない島を発見しては名前を付けたり、数多くの冒険者への依頼を完璧にこなし。そして、この国。帝都【ネーフル】に戦争を仕掛けてきた闇ギルド。【ウロボロス】
帝都出身のこの本の主人公は、帝都を遥かに上回る強大な戦力を前に、なんと!一人で…
たった一人で殿(しんがり)を務めたのだ。
そして、【ウロボロス】に対し圧倒的な力を見せつけ
国を…いや。愛する人を護ったのだ。
簡単になってしまったが、こうして一人の
冒険者であり、英雄が誕生したのだ…。
ここにも一人…冒険を夢見る若者が歩き出す……
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「俺はこんなに素晴らしい冒険者になりたくて…
こうして、こうなって……むふふ」
ふふふ…俺も冒険譚を残せば未来永劫語り継がれる!
「…ロ…シャロ…。」
さっきからなんか聞こえるな…でも気にしない!
「んで、あれがあーしてこうする…ムハッ」
「シャロ!」
右耳の鼓膜にストレートにくる怒鳴るような怒号の声。
「いんぎゃあぁぁぁぁあ!」
突然のストレートに思わぬ断末魔をあげ…た…。
「ちょっ…!え?」
耳の中に水が入った時のあの感覚だ。忘れていたあの頃
の感覚。懐かしさ。
水も入っていないのに、片足ケンケンしている俺を
まるで楽しい会話に水を差して会話の邪魔をされた時の
あの冷たい目…。水だけに。
「さっきから声に出てて眠れないんだよ!
5分おきで起こされるんだぞ!
寝ても覚めてもお前の声しか聞こえねェんだよ!
こんの…落ちこぼれのシャロが!」
どうやら俺が書いていた冒険譚が声に出ていたようだ。
「あの…ごめん。」
「んなもん書いてる暇あんなら、荷物まとめてママの
ところに早くか・え・れ!つーんだよ。」
俺にもう血が繋がっている人なんかいない事知っているはず…。
「き…気をつけるよ。起こしてごめん。おやすみ
落ちこぼれっていうなよ…。」
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