第一章

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桜、桜 綺麗な桜 あぁ、なんて美しいのだろう。 桜の花びらが柔らかい春風に乗ってひらひらと舞う姿は、とても雅であり、平和を連想させる。 城の一室。 格子を開けた窓から見下ろす桜。 美しく咲き誇る桜。 地面へと舞い散る桜。 風に乗る桜。 どれもこれも美しくて、無意識のうちにため息をついてしまう。 この時間がずっと続けば良いのに。 胸の内でぽつりと呟いて、また一息つく。 と、風に乗って舞い上がってきた花びらが一枚、部屋の中に舞い込んできた。 それを笑顔で見つめて、上手に手の中に収める。 少し青がかった黒い髪に、漆黒の瞳。 やや切れ長のその右目はとても優しくて、どこか切ない。 顔の左側、大半を眼帯で隠すようにしているものの、その顔付きは整っていて、かつ幼い愛らしさが残っている。 まるで、汚れを知らない生娘のようだ。 潤んだ唇に、きめ細かい肌。 着物から覗く首元には、なんとも言えない色気がある。 誰の目から見ても、美人に分類される人間だ。 そんな美人さんは、美しい桜をただただじっと眺めていた。 僅かに浮かべた笑みは儚げで、どこまでも他人を魅了する、なにかを含んでいる。 一体どれほどの時間、一人でこうしていたのだろう。 突然開いた襖に大袈裟に驚いて、目を見開いたままばっと振り返る。
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