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んん?
なん とかするって…………なに?
俺が疑問に思ってハテナを頭上に浮かべていると、夏目の友人らしい“ろくちゃん”は夏目から離れて俺に向き直り、構えた。
ひょっとしてこれは…………。
「せっ!」
短い気合いと共に繰り出されたのは正拳突き。
「おぅっ」
反射的に俺は避けた。
これは明らかな敵意ですな!
って、逃げるって、このことか!
「ちょっ、ろくちゃん、止めてよ」
夏目が“ろくちゃん”にしがみつくように止めに入った。
「なんで止めるの!? ひな、コイツになんかされたんでしょ!?」
「さっ、されてないされてない! むしろ助けてもらったの!」
夏目がそう叫ぶと、“ろくちゃん”の動きが止まった。
「…………え」
「彼がアタシをここまで運んでくれたらしいの」
夏目が言いながらこちらに視線を寄越すと“ろくちゃん”もこちらを見たので、俺は頷きを返した。
「じゃあ、さっきの悲鳴は?」
「あ……うん、アタシさっき起きたばかりで……カーテン開けたらすぐ傍に彼がいたからびっくりしちゃって」
「そ、そうだったの…………」
「……………………」
「……………………」
沈黙。
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