『夏目 雛小』

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 怪訝そうな顔をしながらも夏目は答えてくれた。 「そっか、ならいいや」  まぁ、二人なら消費しきれるか。 「それがどうかしたの?」  強い口調で訊いてきたのは、ろくちゃん──蜂ヶ谷だ。 「あぁ、いや、ちょっとな──って、睨むなよ」  うやむやにして帰ろうとも思ったが、蜂ヶ谷の顔が怖かったので、菓子を欲しがってる(実際は狙ってる)友人の話をした。…………もちろん、ストーキングしかけたことは伏せて。 「…………アタシ、いいこと思いついた」  話を聞いて夏目が言う。 「いいことって?」  蜂ヶ谷が夏目を見る。 「うん、あのね、そのお友達──実くんも一緒にお菓子を食べるのはどうかな」  夏目はそう提案した。 「あっ、それいいね! そしたら一人あたりのノルマ、軽くなるし!」  意外にも、蜂ヶ谷は提案に乗ってきた。 「ノルマって…………二人なら食べきれるだろ」  なんでノルマが発生するんだ。 「これだから男子は」  蜂ヶ谷が呆れたように溜め息を吐く。  言外にバカにされたようだ。  …………解せぬ。
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