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「えーっとね、アタシが持ってるのって、甘い系のお菓子でしょ? その、甘いものって……食べ過ぎちゃうと …………ね?」
あー…………なるほどね。言わんとしてることが分かったわ。
「つまりは太る、と」
「デリカシー!」
ずどすっ
「ごはっ」
脇腹を蜂ヶ谷にやられた。
コイツ…………っ、女子じゃなきゃ殴り返してるとこだぞ……っ。
「ろくちゃんっ! 暴力はダメだよっ。──まぁ、その、そういうことなの」
夏目が蜂ヶ谷をたしなめながら、俺の言葉を肯定した。
「あぁ、うん、分かった…………」
要は一人あたりのノルマ──カロリーを減らしたいわけね。
見たところ二人とも細いし、気にすることないと思うんだけどな。
「それじゃ、菓子食べるときは声かけてな。よし、今度こそ帰るわ。じゃーな」
「うん、バイバイ」
「……………………」
夏目は愛想よく手を振ってくれたが、蜂ヶ谷は俺が保健室を出てドアを閉めるまでツンとして無愛想のままだった。
ありゃ、嫌われたな。
なんとなく残念に思いながら、俺はエントランスホールを抜け、帰路に就いた。
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