『夏目 雛小』

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 本日最後の授業(化学)を終え、帰宅しようと四階の実験教室を出て外階段に向かったところ。 「うわっ」  その外階段に座り込んでいる生徒がいた。  急に視界に入り込んだその姿に驚いて、一歩後ろに引く。その後ろ姿は女子生徒で、踊り場の角に肩から凭れるようにして蹲っていた。  あれ? コイツ…………。  女子生徒が肩から提がっているポシェットに目がいった。  ポシェットといえば。 「夏目か?」  そう声を掛けると、ゆるゆるとした動きで彼女は顔を上げる。 「ん……? だ、れ……?」  だるそうに上げられたその顔は真っ青だった。 「え、お前、どうしたんだよ」  駆け寄って、近くで夏目を見る。 「あー……うん、ちょっ、と、きぶ、わるく、て」  唇が、というか顎が震えている。  直感的に危ないと思った。 「おい、保健室行くぞ」  再び項垂れそうになる夏目の頬をぺちぺちと叩いた。 「ほ……け……?」  認識力が落ちてる。  意識がギリギリあるかどうかって感じだ。  ヤバい。
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