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「悪い」
一言だけ詫びて、俺は彼女の脇の下と膝の裏に腕を滑り込ませた。
「よっ……!」
所謂お姫様抱っこだが。
うん? 軽い……?
抱えて走るにはいいけど……ちゃんと食ってんのかコイツ。
そんなことを思いながら保健室に向かって急ぐ。
途中、他の生徒や先生方に見られていたが、緊急事態だ。構ってられない。
保健室に着くと、先生は慌てている俺を見て驚いた。
「先生……っ、おねっ、お願い、します……っ」
「えっ、なに、どうしたの!?」
「なん、か、こい、つ、気分、が、悪い、らしくて」
息を切らしながら伝えると、先生はすぐに対応してくれた。
「ゆっくりベッドに寝かせて」
言われたようにゆっくりと足からベッドに降ろし、頭はそれ以上に気を使って枕にのせた。
「ここは僕がやるから、君は棚にある経口補水液を取ってきて」
指示を受け、先生が指で示した棚から経口補水液とその隣にあったコップを持ってベッドに戻った。
「ありがとう」
そこで礼を言われたものの、経口補水液をコップに注ぐまではやっておく。
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