『夏目 雛小』

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「スティックキャンディ?」  一粒ずつ包装され、スティック状にパッケージされたキャンディだ。 「これがやらかしたんだな」  はぁ、と溜め息を吐く先生。  どういうこと? 「シュガーレスキャンディ。砂糖を使っていない甘味料の飴だ」  うん? 「低血糖はブドウ糖の不足で起きる。甘味料はブドウ糖じゃない」 「あ」  そういうことか。  合点がいった。  つまり。  低血糖を起こしかけた彼女はこれを食べたが、シュガーレス──甘味料の飴だったのでブドウ糖は補給されず症状が出てしまった、と。 夏目の顔を見る。  さっきよりもその顔色は良くなっている様子に、少し安心した。 「……………………」  にしても。  彼女がポシェット──お菓子を持ち歩いていたのは自分の為だったのか。  己の、体調管理の為。 「君、すまないが少しそこにいてくれるか?」  お菓子をポシェットに入れ直しながら、先生が俺に声を掛ける。 「いいですけど…………先生はどちらに?」 「彼女の親御さんに連絡してくるからその間だけ」  あ、そっか。 「わかりました」 「じゃ、頼むよ。連絡したらすぐに戻るから」
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