第1章

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舵を任されているリグも、ロイドやユーリ、他の水夫たちと同様、茶髪に緑色の目だ。 彼の場合は、栗色に近い茶髪に、若草のように明るい色の瞳をしている。 二十代前半程度の見た目で、細身だがなかなかの筋肉質な体つきをしている。 身長はユーリとほとんど変わらない。 一目で好青年だと分かる、ユーリとは真逆の第一印象を与える青年だ。 「それにしても、クレンゼルかぁ。久し振りっすね」 「ええ。セゲンシュエルが届いてね。物資の輸送をお願いって」 ロゼルの言葉にリグは頷いて、浮かべていた笑みを大きくする。 そんな彼を見上げて、ロイドが口を開いた。 「リグ兄、朝ごはんは? 食べた?」 「ん? 食ってねぇよ? 食わなくても、平気だし。……ん? ちょっと待てよ」 ロイドを見下ろしたリグが何かに気付いて、舵から手を放してその場で屈む。 突然舵取りがいなくなった途端、ユーリが当たり前のように舵に手を掛ける。 リグはロイドと視線を合わせてから、彼の口元を拭ってやった。 「……?」 「ははぁ~ん。今日はロイドの好物だったのか」 「え!?」 なんで分かったの、といった顔をしたロイドに、リグがやんちゃに笑いながら言う。
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