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小さい荷物をまとめながら言うロゼルから、それらを勝手に取り上げてユーリは腕を組む。
「お前には用事があるだろ?」
「え……でも……」
「平気だ。これまでだって、なんとかうまくやって来たろ? 行って来い」
困惑するロゼルはふとロイドを見下ろす。
目が合った彼は笑顔で頷いてくれ、ロゼルは自然と笑顔になる。
「じゃあ、お願い。ありがとう」
「ああ」
ユーリの返事を聞いて、ロゼルは髪を結びながら軽い足取りで船を降りて行った。
ユーリはロゼルから取り上げた荷物を見下ろしてから、ロイドに目をやって声を掛ける。
「ロイドも来るか?」
「うん!」
元気な返事にユーリは頷いて、歩き出そうとする。だが、足は前に進まなかった。
「オレも行く~」
「ぐっ!?」
後ろから突然体重を掛けられて、ユーリの口から変な声が出た。
「おい、急に体重掛けんな」
「別に良いじゃねぇかよ」
「良くねぇ」
二人のやりとりを見上げながら、ロイドは笑顔で彼らと一緒に船を降りて行った。
一足先に船を降りたロゼルは、港から街の中に入り、知っている道を歩いて行く。
街中に行けば行くほど、女性や子どもの数が増えて行く。
街中も港と同じく、様々な色をした旗がたくさん飾り付けられている。
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