第1章

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「!?」 「なんだ貴様! どこから!」 「ねぇ、あまりにも卑怯じゃない? 女の子一人に三人?」 襲われていた女性を背中に庇いながら、ロゼルは余裕の笑みを浮かべて言う。 彼女の言った通り女性一人に対して三人の男がそれぞれ武器を構えている。 「……あ! 危ない!!」 「!」 突然、背後の女性が声を上げたと思ったら、ロゼルの死角から更にもう一人の男が現れ、襲い掛かってきた。 ロゼルは咄嗟に動けず、しまったと思ったが、その感情はあっという間に流れていった。 ガキンと金属音がして、安堵する。 「死角から攻撃を仕掛けるなんて、卑怯ですよ!」 「くそ……失敗か……!」 「今回は撤退するぞ!」 これ以上攻撃を仕掛けても無駄と判断したのか、男たちは呆気なく去って行った。突然二人きりにされ、静かになる場。 「今回は、じゃなくて、今回も、でしょ?」 「…………」 ロゼルは一息ついて剣を腰に戻し、庇った女性を振り返った。 左手を胸に当てて、虚ろな目で地面を見つめる女性。桃茶色、と形容するのか、ふんわりと柔らかそうな髪にエメラルドグリーンの瞳。 色白で愛らしい、少女とも言える彼女の右手には、物騒なことに槍が握られている。
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