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「うん!! 元気!!」
「すご~い! 本物のお姫様だ~!」
「握手してー!」
やいのやいのと体を押されながらも、エリンシアと呼ばれた女性は上手いこと子供達全員に触れるようにして微笑んだ。
「相変わらず大人気ね、エリーは」
「ふふ、そんなことないですよ。……みなさん、なにか困ったことはありませんか?」
一番小さい子供を抱きかかえるようにしてエリンシアが言うと、子供達は一斉に、ないでーす、と返事をした。
その返事を聞いて、エリンシアは安堵したように頷いて屈めていた腰を伸ばした。
すると子供の一人がととっとロゼルに近寄り、彼女を見上げ、口を尖らせながら言った。
「なんだよー。お姉ちゃん、エリンシアさまとお友達だったの?」
その言葉に、ロゼルはどこか自慢気に頷く。
それを見て子供達は、いーなー、と騒ぎ出す。
しばらく子供達から足止めを食らったが、エリンシアが一言声をかければ、彼等は素直に彼女から離れて解放してくれた。
じゃーねー、と手を振ってくれる子供達に手を振り返し、二人は自然と港に足を向ける。
その道中、大人も子供もエリンシアを見た者は彼女に熱烈な視線を向けていた。
「ほんと、悩むこともないんじゃないの? こんなに慕われてるんだから」
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