1人が本棚に入れています
本棚に追加
「うん、ちょっとね……」
ロゼルは眉間に皺を寄せ、辺りを見渡す。長身の男ばかりで視界が塞がれてしまうが、それでも目を凝らして目的のモノを探す。
しばらくして、見つけた。
ロゼルは肩を落とすようにして一息つくと、見つけたモノへ向かって行った。
一人取り残されたエリンシアはわたわたしてから、彼女の後を追う。
ロゼルが向かった先には、ユーリとリグがいた。彼らの前には、狡猾そうな男が一人、いやらしい笑みを浮かべて腰に手を当てながら立っている。
ロゼルはユーリに歩み寄って、小声で彼に問う。
「ユーリ。どうかしたの?」
「? ロゼルか。どうしたもこうしたもねぇ。ボラード料を吹っかけられてよ。ムカついてんだ」
ロゼルの声を聞いたユーリは、恐ろしいほど怖い目をそのままに小声でそう返した。
いくら? と続けてロゼルが問い、その返事を聞いた彼女は怪訝そうな顔をして男に突っかかるようにして言った。
「三万ペールってどういうこと? 普段の倍以上の値段じゃない」
「ん? なんだ、お前。急に出てきて何の用だ?」
「あ、っと……この人たちの船の財布係よ。あたし、お金にはうるさくてね」
最初のコメントを投稿しよう!