第1章

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とても嬉しそうに頬を紅潮させた彼女にロゼルは微笑んで、頷いた。 「ええ、もちろんよ。じゃあ、行きましょう?」 その言葉にエリンシアははいっ、と子供のように元気な返事をして、歩き出したロゼルの横を歩いた。 先ほどまでの野次馬に囲まれていた騒がしさはさすがにないが、それでも港は賑やかだ。 気の荒い男たちが大声で言葉を交わしている。 「やっぱり、すごい迫力ですね。港にいる男性たちは、体が大きくて少し怖いです……」 「ふふ、その割にはあの男にガツンって言いに行ってたわね」 「それは……公主としての役割ですから……」 言葉を聞いたエリンシアは、なぜか先ほどまでの気丈さを失い、か細い声でそう答えた。 ロゼルは特に気にする素振りを見せずに、笑顔のまま更に言葉を続けた。 「無理はしないでね」 「ええ、分かっています。ありがとうございます」 ロゼルを見上げたエリンシアの笑顔は、とても明るいものであった。 そんな他愛ない会話をしている内に、二人はロゼルの船が停まっているボラードに辿り着いた。 真っ赤な船体に金色の装飾が施された華奢なキャラック船。とても美しい。 「うわぁ! すごいですね!」
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