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「ユーリ兄なら部屋にいるよ。なんかすっごい怖い顔してたけど、リグ兄はニコニコしてた」
「ふふ、相変わらず正反対の性格ね」
ロゼルは笑って、ぐぐっと腕を頭上に伸ばし、深呼吸した。
潮風が心地よい。
「だからいいって言ってんだろ、うっせぇな。これくらい痛くもなんともねぇ」
「え~、でも腫れてんぜ? 冷やすくらいしろよな」
と、ブリッジ下の階段から騒がしい声を上げながらユーリとリグが姿を現した。
リグの言う通り、ユーリの頬はまだ少し赤くなっている。
「……あ、ユーリ」
「? 戻ってきたか。じゃ、金払いに行くか」
ユーリは甲板にいるロゼルを目視すると、ちらりとエリンシアにも目を向け、ボソッと呟いた。
「はぁ? お前が行くのかよ。やめといた方がいいんじゃねぇ?」
「なんでだよ。お前が行ったらまた同じ態度取るぜ? あの野郎」
その言葉にリグはむっとするものの特に言い返さず、肩を落としてため息をついた。
それからユーリから逃げるようにロイドに近寄る。
リグが近寄ってきたことに気付いたロイドは笑顔になって彼を見上げた。
一方、ロゼルは手持ちのお金を数えているユーリに歩み寄る。エリンシアも、恐る恐る近付いてきた。
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