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「大丈夫?」
「へ? あぁ、大丈夫です。……ちょ、ちょっと、びっくりして」
エリンシアはそう言うと胸に手を当てて深呼吸し、今度は落ち着いた表情でロゼルを見上げた。
「あの方は、ローク……ですよね? わたし、誓隷の方とこうして会話をしたことが無いので、緊張してしまって」
「それって関係ある? 単にユーリが怖いだけでしょ?」
「そ、そんなことありませんよ! なんでそんなこと言うんですか!」
ロゼルの意地悪な言葉にエリンシアは顔を赤くして反論する。
それを見たロゼルは笑ってから、甲板の端にいるロイドとリグを手招いた。
先に気付いたロイドはパタパタと軽い足音を立てて駆け寄ってくる。
「なぁに、ロゼル」
「ふふ、ちょっとね。……ほら、エリー。この子もロークよ? この子なら平気でしょ?」
紹介を受けたロイドはエリンシアを見上げて微笑む。
エリンシアは少し確認するようにロイドの髪と瞳を見つめてから、数歩後ずさった。
「あら? やっぱりダメ?」
「い、いえ……。ちょっと、独特なオーラがあるというか……。ご、ごめんなさい。気を悪くさせてしまいますね……」
エリンシアは申し訳なさそうに言って、俯いた。
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