第1章

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高いヒール、レースのついたスカート、お洒落なブラウスにお気に入りのジャケットを羽織り、鏡の中にいる自分を見つめる。 自分が映っているサファイアブルーの瞳は、宝石のように美しい。 長く美しい金髪にブラシを通して、毛先がカールするように何度も上下に手を動かす。 それから、厚めの唇に淡いピンクのグロスを塗って、満足気に微笑んだ。グロスのキャップを閉めて化粧箱にしまい、彼女は部屋を出た。 カツカツと軽快な音を立てながら、階段を登っていく。眩しい太陽が、淀んだ体を浄化してくれるようだ。 「ん~~~っ! 今日も良い天気!」 ググッと腕を伸ばして、深呼吸。 萎んでいたような体に清々しい空気が入って、なんだかクセになりそうだ。 上げていた腕を勢い良く下ろして、彼女は周りを見渡した。 どこに視線を向けても、見えるのは広大な海。日の光を反射する海は、キラキラと金色に輝いている。 「……今日もきれいね」 ぽそりと呟いてから、彼女は頭上にあるマストを見上げた。ご機嫌そうに揺れる、小さな靴が視界に入る。 「おはよう、ロイド。今日も早起きね」 「あ! ロゼル! おはよー!」 頭上から降ってくる幼い声。 直後、その声の持ち主も降ってきた。ぴこぴこと跳ねる短い茶髪に、丸い緑色の瞳。
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