第1章

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「分かった」 ロゼルの言葉にユーリは言って、重い足音を立てながらどこかへ行ってしまった。 また二人きりになったロイドは、ロゼルを見上げながら彼女に問う。 「クレンゼルって、ロゼルのお友達がいるところだっけ?」 「そうよ? 会うの、随分と久し振りになっちゃったから楽しみだわ。それに、あの国の雰囲気、好きなのよね」 ロゼルはそう答えて、舷縁に寄り掛かった。 目下には透き通る海、その上には優しい色の空。 何もかもが素晴らしい。 ロイドも背伸びをしながら、海を覗き込む。魚が泳いで行くのが見えた。 「ロゼルは海が大好きなんだね」 「うん、大好きよ。海より自由を感じられるものって、ないんじゃないかしら」 そう答えた彼女の笑顔は、とても優しかった。 ◯ 「キャプテン! クレンゼルって、確か西っすよね?」 「ええ。リグ、西はどっちだかわかる?」 「分かんないっす!」 舵を握った青年・リグの、良い笑顔の返事にロゼルは苦笑しながら階段を登る。 彼の横には、眉根を寄せて怖い顔をしたユーリが腕を組んで立っている。 「いい加減羅針盤の読み方を覚えろ」 「別に良いじゃねぇかよ。知らなくても困んねぇんだし」 「毎回ロゼルに聞いてんじゃねぇか」
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