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一方、リデルタは息も乱さずに満足気に微笑んでいた。
余裕を感じさせるような意地の悪い笑みを見せるリデルタに伊織はいじけたように頬を膨らませる。
そのあまりに子供っぽい仕草にリデルタは声を出して笑いそうになるのをこらえ、サイドボードに置かれたグラスから金木犀色の液体を口に含むとそのまま伊織に口付けた。
コクリと喉を鳴らして素直に飲む姿はまるで親鳥から与えられる物を無条件に受け入れる雛鳥のような従順さを感じさせた。
「美味しい?」
「ん…甘くて美味しい、です」
「なら良いけど、これが本当のお酒や危ない薬だったら痛い目見るよ…イオリはもっと警戒心を持ったがいい」
心配そうに眉を顰めて囁いたリデルタが伊織に与えたのは甘めのノンアルコールのカクテルだった。
リデルタにとってはジュースのようなものだったが、お子様舌で未成年の伊織には丁度いいものだった。
口移しで与えられた飲み物を自然と受け入れていた伊織は時折青碧の瞳でじっと見つめてくるリデルタに気づき、不自然にならないように目を逸らした。
そして不意に視界に入った上品な飾装に視線を奪われ、部屋の中をぐるりと見渡すと豪華なスイートルームは広々としているだけではなくオープンキッチンやバーカウンター等の設備が完璧に完備されていた。
食材やアルコールの類も豊富に揃い、最上階から夜景を一望に眺められる窓りもよく考えられていた。
それだけではなく男が二人寝転んでも十分に余裕のあるキングサイズのベッドは使い心地から質感まで上質な物が備え付けられていた。
サイドテーブルで焚かれる香は淡い花の香りを漂わせ、その甘い匂いに連られたかのように伊織はリデルタの首へと両腕を絡めるように伸ばした。
蜜事に疎いはずの伊織に誘惑するような仕草を見せられて愛しく思う反面、いじらしく鳴かせたいと思うリデルタはつるりとした手触りの膝頭に手をかけると大きく股を開かせた。
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