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「さっきの」
「はい?」
俺は黙っている澤山さんを見ながら先程頭の中を掠めていた思いを言葉にしてみる。
「さっき俺が澤山さんの話に驚いたのは、マイナスのイメージじゃなくて」
「はい」
「スケッチブックに書いた自分の言葉がすんなり受け止めてもらえてるんだなぁって、よかったなぁっていう感覚だったと思います・・・・・・」
「そう、ですか」
考えながら言葉を紡いでいた俺は、ある程度形になった言葉と澤山さんが顔を少し上げてくれたことに安堵感のようなものを抱いた。
「えーっと、それで、俺は何をすればいいでしょうか?」
俺は今のうちだと思って、澤山さんに問いかける。
「あっ、そうでした。えっと、私に本を一冊選んでほしいんです」
「本を?」
「はい、私はご存知の通り書店で働いてますから、たくさんの本に携わりますし、お客さんのお話を聞いて本をお勧めすることもあります」
「はい」
「・・・・・・でも今は私も糸口が欲しいというか・・・・・・あなたの目線で私に本を選んでほしいんです」
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