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「それじゃあ、後お願いするわね」
「はい、任せてください」
最近は夕方から閉店までを任されることが増えてきていた。
もちろんあやめさんと一緒に店番をすることもあるけれど、週に2日ほどは一人で店番をすることも増えてきた。
「日が長いものね」
あやめさんが曇りがちながらも夕日が存在感を示している空を見ながらそう呟いた。
「そうですね、もうすぐ夏至ですから」
「そうよね、でも、夏至が来てしまうと、段々と日が短くなっていくわね・・・・・・」
俺は何も思わずに空を眺めていたのだけれど、今まで聞いたことのない紅碧色のような寂しい声に思わずあやめさんのことを見つめる。
しかし、その違和感のような雰囲気自体は一瞬にして姿を消してしまって彼女はいつもの微笑みに戻っていた。
「それじゃあ、後はよろしくね」
「・・・・・・はい」
俺は結局何も言えずにあやめさんを見送った。
ざわつくような心持ちを抱えたまま俺はしばらくそのまま空を見ていた。
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