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それからしばらくしてそろそろ店じまいを始めようとする頃――
「・・・・・・こんばんは」
静かに響いた声に入口付近へと向かう。
「あっ、こんばんは、いらっしゃいませ」
つい昼間に顔を合わせた女性がやってきていた。
昼間に交わした言葉を思い出して俺は彼女に話しかけた。
「今日も何点か新しい商品が入ってるかと思うんですけれど・・・・・・」
「いえ、今日は違うんです」
彼女は俺が棚の方へ進める足を止めるようにはっきりとした声でそう言った。
俺はやや驚いて動きを止めて彼女を見る。
そのまま彼女は俺の視線を誘うように手を動かすとある場所を指さした。
その場所は、俺がスケッチブックを置かせてもらっている所だった。
「あれ、お願いできますか?」
彼女の鞄を持つ手は力が入っている様に見えた。
それは彼女の思いが見て取れるようだった。
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