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一度なら気の迷いと許す事もあるだろうが度重なると黙っちゃいないぜ。
特にここは古本屋だからな。
長年、本に対して蓄積された想いも重ねられている。
馬鹿な事をすれば酷い目に遭うぜ。
中を見たな、普通の客を装っているのかい。
そいつは一人の人間の半生を記したものだ。
知っているか、人は誰でも自分の半生を綴れば傑作が書けるって言葉を。
俺はあんまり信じちゃいないがな。
日本はぬるま湯みたいな部分があるから、今の時代を生きる奴で面白いと大多数の人に感じさせる半生の奴は少ないだろう。逆に一部の人に自分と同じだと共感させる奴も多そうだがな。
へえ、そいつを手に俺の死角に回るんだ。気に入ったのかい。
そっちは値段の安い本のコーナーだね。
高いのは隠して、安いのを買って誤魔化すのかい。
悪いがそれは許されない。
ここは古本屋だ。
色々な想いの詰まった本の立ち並ぶ場所だ。
人の心を馬鹿にしちゃいけないぜ。
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