侍言葉の外国人

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という気になった。その気になってみれば、何か目的があったほうが張り合いが出るだろうと言う事で、アルバイトの口でも、と思いついたのだ。 (見つからなかったら、それはそれでいいし) 本気でしようと思った時に、探せばなんとでもなるだろう。なんなら、教授の助手として雇ってもらえばいい。弘明は、自分はそこそこに器用で頭の回転も悪くは無いと自負している。志望すれば、受け入れてもらえるだろう。 駅は、大型のショッピングモールを併設していた。改札を抜けて陸橋を渡れば、シオンモールという様々な店舗が入っている建物に入る。弘明はとりあえず、その中に入り一番上の階まで上り、ぐるぐると巡って一階まで下りてみることに決めた。 平日の昼間だというのに、そこそこの人出がある。エレベーターで最上階のボタンを押して上がり、レストラン街に出た。特に腹もすいていないので、適当に目を向けながら進み、最奥の映画館入り口できびすを返してエスカレーターで下りた。そこもまたレストラン街で (こっちのほうが、財布に優しい値段設定だな) そんなことを思いながら、ファミリー向けや若者向けの店などに目を向けつつ通り過ぎ、下の階へ。今度は、メンズファッションの店舗やCDショップなどが並んでいた。 「結構、なんでもそろいそうだな」 あちこち近隣のことを知らなくとも、ここに来れば事足りそうだと思いつつ、店を冷かしていく。その下はレディスファッション。そのまた下は安価な総合ファッションの店やスポーツ系の店、靴屋が並んでいた。一番下の階は、カフェやファストフード店、スイーツショップや雑貨などの店が並んでいた。 「へぇ」 それらを見て回り、思ったよりも広かったモールをうろつき少し疲れたので、チェーンのコーヒーショップにでも入ろうかと目を向けた瞬間、その隣にあったアイスクリーム屋の前にいた男と目があった。 (あ、なんか嫌な予感) それはどうやら的中したらしい。男は安堵した様子で弘明の傍に寄り 「御助力、願えぬだろうか」 「――はい?」 いつの時代の言葉だと、突っ込みを入れたくなる言葉づかいで話しかけてきた。 「突然の事と、驚かれるのも道理。某、アイザック・クルーと申すもの。以後、御見知りおきくだされ」 「はぁ」
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