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「あぁ……。」
先に門にたどり着いたファンドが不意をつかれたような声を出した。
追いついた巧も門を見て表情をくもらせた。
「なにこれ……?」
2人の目線の行く先には入場門があった。
だが、その出入口となっている部分には赤黒い鎖が何重にもかけられていた。
「……これはかつての『園長の無念』が形となったもの……が、生み出したものでしょうな。」
「なにそれ……?」
「あー……説明しますとここ『ファンドリーランド』は10年前に潰れてしまったのですが、その時、園長はかなり、いやかなーり悔やんでいたそうです。なんでも、『子供達を笑顔にするのが目的のこの場所が、最後に子供達を泣かせることになるとは……』と。」
「ここ、そんなに人気だったのか……」
巧が知らないのも無理はない。彼が最後に訪れたのは3歳の頃──つまり12年も前の事で。
そこまで昔の記憶はそうそう残っているものではない。
もし残っているとしても輪郭すらぼやけているだろう。
巧は鎖に目をやる。
「この鎖……消せるのはその『園長の無念が形になったもの』だけなの?」
「えぇ、しかもそれがいるところに行くのには各エリアにある何かを集めないと行けないとのことです。」
「そのエリアってどんなのがあるの?」
巧はファンドに訊く。
ファンドは地図を取り出すでもなく、
・イーストエリア
・サウスエリア
・ノースエリア
・ウエストエリア
・スプリエリア
・サモンエリア
・オタミエリア
・ウインタエリア
の8つのエリアがあることを伝えた。
そして続けて
「とりあえずここから1番近いサウスエリアに行ってみるのはどうでしょうか?」
と提案した。
「うん、とりあえず動かないとね。」
巧もそれをのみ、2人で向かうことにした。
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