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 アリエッタに出来るのは、いずれ訪れるその日までエミリオの側に居ることだけで。自分本位な考えでエミリオの名前を傷付けるようなことはあってはならない。してはいけない。  震える指で、アリエッタは唇に触れた。  重なり合ったあたたかい吐息を、柔らかな感触を、まだ憶えていた。  ――わきまえる。  そんな簡単なことが、アリエッタにはとても困難なことに思えてしまった。
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