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「アリエッタ、あのさ……」
「エミリオ様、こちらはどこに片付けておけばよろしいですか?」
エミリオが確認できるように小箱を見せると、アリエッタはぐるりと部屋のなかを見回して、小箱に相応しい置き場所を探した。
大抵の場合、小物は机の引き出しにしまっていたけれど、繊細な装飾が施されている小箱だから飾り棚でも良いかもしれない。
そんなことを考えながら、アリエッタは指示を仰ごうとふたたびエミリオに目を向けた。
「ああ、それ……箱は要らないんだ。いや、重要じゃないってだけなんだけど……」
相変わらず不自然にそわそわとしながら、エミリオは視線を漂わせていた。
エミリオの様子は気になるけれど、使用人のアリエッタが口を出すべきことではない気がして。アリエッタは対応に困ったまま、手にした小箱に視線を落とした。
エミリオは「箱は要らない」と言っていたけれど、本当に綺麗な小箱だった。まるで宝箱か宝石箱のようで、大切なものをしまっておくには最適な気がして。
アリエッタは顔をあげると、思い切ってエミリオに尋ねた。
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