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それでも元カレに捨てられて正解だったと知ると、少し元気が出てきた。
(そうだ、これが本当に未来を予知できるのかどうか。自分の近い将来を見てみよう)
そう考えた南は、自分の今日一日を予知してみることにした。
(。。。えっ?私は本日18:21、トラックにはねられて・・・死?)
それは最悪の結果だった。この後友達に呼び出されて、オフィス街のはずれにある居酒屋に向かう途中、信号無視して侵入してきたトラックにはねられるという。
しかし逆に南は安堵した。この予知とは違う行動をすればいいのだ。例えば信号を渡る際もトラックなどいない事を確認するとか。もしくは友達の誘いそのものを断るとか。
(でもこの力は私だけのものにしよう)
そう思い、「予知能力」の部分をビリビリに破いて海に捨てた。しかし何故かノートそのものを捨てる気にはなれなかった。
ー18:21-
南は大型トラックにはねられた。即死だった。
『予知能力の危険性:予知能力と占いとの決定的な違いは、占いがその人の道をいくつも示すのに対して、予知は絶対であるという事。
例えば、過去に起こった事象、昭和が平成に変わった事実などは、もはや周知の事実であり、今の我々にそれを覆すことは出来ない。すでに起こった事だからだ。
同様に、予知で見えてしまった事象も変えることは出来ない。見えてしまった以上はそれは起こった事実だからだ。見えてしまった以上は過去の事と同様なのだ。
見えてしまった事実に抗おうとしても、体は勝手に動く。他人であれ、自分であれ』
9ページ目にはこのような注意書きがあったのだが、すでに破かれた後であり、南がそれを知ることはなかった。
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