エピソード4・南由香(32)の場合「未来予知」

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 それでも元カレに捨てられて正解だったと知ると、少し元気が出てきた。 (そうだ、これが本当に未来を予知できるのかどうか。自分の近い将来を見てみよう) そう考えた南は、自分の今日一日を予知してみることにした。 (。。。えっ?私は本日18:21、トラックにはねられて・・・死?) それは最悪の結果だった。この後友達に呼び出されて、オフィス街のはずれにある居酒屋に向かう途中、信号無視して侵入してきたトラックにはねられるという。  しかし逆に南は安堵した。この予知とは違う行動をすればいいのだ。例えば信号を渡る際もトラックなどいない事を確認するとか。もしくは友達の誘いそのものを断るとか。 (でもこの力は私だけのものにしよう) そう思い、「予知能力」の部分をビリビリに破いて海に捨てた。しかし何故かノートそのものを捨てる気にはなれなかった。 ー18:21- 南は大型トラックにはねられた。即死だった。  『予知能力の危険性:予知能力と占いとの決定的な違いは、占いがその人の道をいくつも示すのに対して、予知は絶対であるという事。  例えば、過去に起こった事象、昭和が平成に変わった事実などは、もはや周知の事実であり、今の我々にそれを覆すことは出来ない。すでに起こった事だからだ。  同様に、予知で見えてしまった事象も変えることは出来ない。見えてしまった以上はそれは起こった事実だからだ。見えてしまった以上は過去の事と同様なのだ。  見えてしまった事実に抗おうとしても、体は勝手に動く。他人であれ、自分であれ』  9ページ目にはこのような注意書きがあったのだが、すでに破かれた後であり、南がそれを知ることはなかった。
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