本の世界へようこそ

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結局、店長との会話を切り上げた霧中は、その本を手に店を出た。色々奇妙なことを言っていたが、どうせ凝ったただの作り物だ。 だがなぜだろう。この本には不思議な魅力がある。そんな気がする。 何はともあれ、早く帰ってこれを読もう。ホントに理想の本になり得れば儲けものだし、白紙のままなら明日返して文句を言えばいいだけだ。どうせタダだ、損はない。 「ただいまーっと」 誰もいない家に、帰ってくる。あまり片付いていない部屋。原因の8割は散乱した本によるものだ。 「さて……」 早速、本を取り出す。さてどんなものだろうか…… 「……お?」 驚いたことに、開かれた本には文字が書いてある。確かに白紙だったはずのそれが、本として成り立っている。 それだけではない。その内容は、まるで…… 「お、おぉお……!」 霧中の、理想の物語だった。
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