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 蒼として仕事をしていない時、わたしは過ごす実感がないままに時間を食いつぶしている。つけっぱなしのTVから流れてくる情報は耳を通り過ぎるだけだ。  無機質な生活が淡々と繰り返されていく。季節を忘れ、日を数えることをやめた。仕事がある時だけ、時間と日付を思い出す。  あのやっかいなボンボンのあと、2人の男と逢いSEXをして動画がまた増えた。自分のSEXがすべて記録されているのは不思議な感じがする。AVに出演している人間もわたしと同じような事を思うのだろうか。でもAVは芝居だから、本当の自分の姿ではないと割り切れるのかもしれない。  わたしは毎日少しずつ死んでいくような、腐っていくような実感に食いつぶされる。  この生活をあとどれくらい続ければいいのだろうか。この生活が継続する事と同じくらいの恐怖を感じることが一つある。  それは斉宮から解放されて「蒼をやめていいですよ」と言われることだ。そうなったとき、わたしは何をして生きていけばいいのだろう。もはや普通の生活をするなど無理だ。  満員電車にゆられてサラリーマンになる?最初の希望していた建築に携わりドラフターやPCに向かって誰かの夢である住まいを生み出す?  無理だ。  ゲイであることは変わりようのない現実だ。そしてわたしの「過去」は消えもせずにずっと己の中で生き続ける。それを抱えてどうやって普通に生きられると?  無理だ。
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