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「緑って気持ちが落ち着きますよね?ここは穏やかです」  ここは……どこ?  これは夢?  君は……誰?  強い日差しが逆光になって、顔がみえない。君は誰?  彼の手にはホースが握られ、小さな庭に水を撒いているようだ。  穏やかな柔らかい日差しを受けてキラキラと光る水のラインが空気に溶けていく。 「ここから貴方をみると、虹が重なります!そっちから見えますか?」  見えないけど、とても綺麗だよ。水が銀の雫のように降り注いでいる。 「きれい……だ。水が銀色」 「綺麗なのは、貴方です」  見えなくてもわかる……君は微笑んでいるね?  ふいに水面に浮き上がるように、体が軽くなり現実に引き戻された。  柔らかい日差しを浴びていたのに、ここは真っ暗な自分の部屋――ひとりぼっちで横たわるベッドの上。  頬に手を当てると、そこは濡れていた……涙だ。  あの温かさは、もう二度と自分は得られないと諦めたものだ。  諦めたはずだ……でも……わたしは、あの温もりが欲しい。これくらいのささやかな夢ぐらい許されるだろう。  また同じ夢に戻れますように……そう願って目をつぶった。
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