ルイノアルの魔石

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 奴らに渡った魔石はただの紫の光を放つ石でしかないわけなんだが。  俺は家族と離れて、一人で旅をすることにしたんだ。第一の目的は親父の魔石を取り戻すこと。第二の目的は、俺の持つルイノアルの魔石で、家族を犠牲にしない為に、だ。  人間は皆信用出来ないと思っていたのだが、この今一緒にいる相棒は違った。  子どもだから、かもしれないが。それでも良いと思っている。  一人で旅をするより、断然楽しいのだから。  けれど、こうしつこく追い回されるっていうのは、誤算だった。相棒を巻き込んだことを、俺は結構悔やんでいる。 「ミラ、……ここ町のどの辺なんだろう?」  相棒はふと思いついたように聞いて来た。  相棒は俺ほど方向感覚は良くない。その為、走り回ったことで、今町のどの位置に居るのかわからなくなったのだろう。特に初めての町だし。  壁を乗り越えた俺たちは、宿屋らしい建物の裏庭に出ていた。  表へと抜けられる道があることに気付いた俺は、とりあえず相棒の質問を無視して走ることを再開させる。逃げている俺たちには、少しでも休むという時間は無い……。 「やっぱ町から出て、森ん中入っちゃった方が良いよねぇ」
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