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救急車を呼ぼうか、とスマホに手をかけ、この程度で搬送されてたまるか。という意地がスマホから指を離させる。
大きな白い館。庭には涼しそうな大木が植わっている。
あそこでちょっと休憩するか、と大木の木陰に身を寄せる。
「ねえ、ちょっと。人の庭先で倒れないでくれる? インターフォンも無視するし」
かん高い声が頭上から降ってきた。
頭を上げると黒髪をロールさせた少女が俺を見下ろしていた。スカートも上着も全て黒。
肌の色はさすがに黄色人種だろうが、瞳は青く、胸には銀細工の花が付けられている。
コスプレ?
一瞬、痛みも忘れて魅入ってしまった。
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