第一話 出会い

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「入りなよ」 少女が館の扉を指さした。 そうだ。ここで電話を借りて、タクシーを呼ぼう。 「すみません。お邪魔します」 脈うつような痛みをこらえて、館に入った。 入ってすぐ、後悔した。 ドライフラワーの香りは心地よいが、部屋は異常だ。 色とりどりの蝶の標本。五芒星や六芒星を象った真っ赤な絨毯。蝙蝠が跋扈する景色をモチーフにした油絵。 本棚には何故か『北斗の拳』が全巻揃っている。 白いレースがふんだんに使われたベッドに寝かされるが、全く休まらない。 絶対に怪しい宗教だ。 「五千円でいい」 いつの間にか少女がベッドわきに立ち、金を要求する。 「早く、楽になりたいんでしょ?」 詐欺に遭ったようで腹が立つが、この館から逃げるならば安い金額だ。 尻ポケットから財布を出し、5千円札を渡す。 「契約成立ね」 少女が不敵に笑った。
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