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『天草内科』
小学生の時から通っている、俺の行きつけの医者だ。
ここまで来て、ふと疑問が湧く。
今まで痛みで歩くのも苦痛だったのに、どうして息切れするまでに走ることができたのだろう?
時間帯が幸いしたのか、すぐに診察室に呼ばれた。
少女のことを除いて、これまでの経緯を説明する。
50歳を過ぎ、恰幅の良くなった天草先生が、診察台に立つ。
腹診をし、聴診器で腹部の音を探るが、分からないようだ。顔をしかめている。
「ここが段々痛くなった。間違い無いですね?」
天草先生が念を押すように、下わき腹を押す。場所は、少女が押した場所と寸分たがわなかった。
(マックバーネー点!)
俺も一応医学生だ。臍と右上前腸骨棘を結んだ線の、右上腸骨棘から1/3の点をマックバーネー圧痛点と呼び、急性虫垂炎の指標となる。
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