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自嘲気味にお笑いになる御姿でさえ、陽の光を纏っておられる。わずか六年のご政務ですべてを出し切り、今は緩やかな諦念のなかでお過ごしになるうち、諦めの中に新たな光を見い出しなさった。
「お一人で猟に出た日のことは、家人の方々もご心配なされたでしょう」
「泊まる旨は前もって言わなかったからな。……それに月が綺麗だった」
じっと私の顔を見つめる。私は黙って頷いた。
獲物を追いすぎて陽が落ちてしまい、公は外へ予定外の宿泊をなさった。内々に私と落ち合っていたことは、誰にも知られてはならぬ秘密だ。
久しぶりの逢瀬ながら、あの方は私が大蔵省改正局時代におこなった近代化政策をいちいち評し、地方銀行の緊急性を説いた。端的なお言葉ながら的確で、それが饒舌にいくつも繰り出される。そこには、鋭すぎる英明さをもはや表に出せぬ、お立場の辛さが窺えた。
私の前でも政治のお話は一切なさらなかったが、政策や経済などに関しては、私にだけはお話になり、それがこの上なく嬉しかった。
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