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「父さんが……? 俺を……?」
「ハハッ」と声では笑ってみせるが、その目は全く笑っておらず、逆に先ほどよりも鋭い眼光が、二人に向けられていた。
「この男が、俺の心配なんてするわけないだろ!? 伯父さんだって知ってるじゃないか!? こいつは! 俺を……! 捨てたんだ!」
語気を強める彼の姿に、ビクッと少しだけ怯える様子を見せたのは、本当の伯父かもわからない存在。
「分かった。分かったから、落ち着いてくれ。な?」
牙を剥き出しにした動物を、宥めるように、真の気持ちを落ち着かせようとする。
一言でも言葉を違えば、人を殺しかねない、猛獣のような危うさが今の真にはあった。
その原因は、目の前の二つの存在。
自分を否定した父と、伯父ではないかもしれない男。
「落ち着いてるよ……おかしいのは伯父さんだ。なんで、そいつと一緒にいる? 俺が……これくらい取り乱すって分かってて、どうして、会わせようとする……? 前に言ってた、会わせたいヒトって、やっぱ、こいつのことだったんだ?」
「……そうだ。俺は、お前と……お前の父親との誤解を解きたかった……」
人に謝る時のような申し訳ない表情で、倉崎は一人の少年の方を見る。
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