意識暴走―insomnia―2

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 必死に下りて、一階に辿り着くと、すぐさまマンションを出て、地上に足を着いた。  膝に手を置いて、肩で息をしながら、顔を上げる。  しかし、そこにはいつもの光景など存在し得なかった。 「……どうなって――――」  アスファルトの地面には大きな皹が入り、茶色い土が顔を出している。ビルの外壁は崩れ、道路に散乱し、割れた窓ガラスも大量に散らばっている。  地震が起きた後のような光景だが、そうじゃないと、真は口を開いて、すぐに気がついてしまった。  この状況を招いたのは、如月ではなく、まして、古井新でもない。電車に乗っていた時と同じ。  現実世界で、黒い文字を操って、世界を黒一色に染めようとしたのは―――― 「――――俺自身……」  エレベーターの向こう側の世界、つまりは、如月の心の中で、如月に聞かされた話は、全て本当の事だった。  倉崎は自分の伯父ではなく、如月と繋がっていて、ずっと自分を騙していた、ということになる。 「何が、俺と過ごした時間が消えるわけじゃない、だよ……そんなの……嘘っぱちだろ……」  信じていた、頼りにしていたものが一気に崩れ落ちて、しがみ付くものもなく、どん底まで落ちていきそうな感覚に襲われる。     
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