意識暴走―insomnia―2

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『現実世界に戻っても、決して眠ってはいけない。次に目を覚ました時には既に世界は終わっていた。なんて事になる』  如月の忠告を守らなければ、本当に世界が終わってしまうかもしれない。  整っていた息が、一気に過呼吸のように早くなっていく。  空気が自分の呼吸を阻害しようと、酸素だけを無くしているような気もしてくる。  それでも、この場から一秒でも早く離れようと、足を必死に動かした。  これからどこに行くかも分からないまま、ただひたすらに歩いた。  段々と、呼吸も通常どおりに戻り出して、視界もクリアになっていく。  同時に、その目が捉えたのは、学校に向かう際の手段として用いる、見慣れた電車の駅だった。  しかし、その外観は、いつもどおりとはいかず、壁が崩れ、電車も動いていそうにない。  無意識のうちに、学校へと向かおうとしていたのか。  そこに今の現状を打開する、なにかが存在しているのか。  確かに、彼を苦しめてきた、エレベーターの向こう側の世界が現れる原因は、いつだってその場所から始まっていた。  そこに赴けば、何かが変わるという確証はないが、何も変わらないとも思えない。  歩いてどのくらいかかるのかは分からないが、それでも行く価値はあるだろう。  自分の中に存在する違和感が、行く方向を定めて、無理やりに足を動かし始めた。     
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