意識暴走―insomnia―2

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 ◇  それからずっと、結構長い距離を歩いていたような気もするが、一瞬で過ぎ去ってしまったという感覚もある。  まだ学校には着いていないが、多分近くまでは来ている。  如何せん、周りの景色のほとんどの物が壊されたり、無くなったりしている為、自分の中にある光景との差異が、確認することを邪魔している。  道中ではほとんど、一般人の姿を見かけることはなかった。  学生も、老人も、会社員も、主婦も、誰も見ていない。  空は明るく、朝か昼のどちらかの時間帯であることに間違いはないが、それなのに一般の人々を見ないというのは、明らかにおかしかった。  警察官や消防隊員、自衛隊の姿は所々見受けられ、そんな人たちには見つからないよう、神経をすり減らしながら歩いた。  学校の体育館などの避難場所にみんな避難していると思われる。  だとすると、このまま学校に出向くのは、人に出会ってしまうという意味では、非常に危険なのでは、と考えた。  大罪を犯した、犯罪者のような思考だが、今の自分はそれと変わりない。  眠ってしまえば、また世界を崩壊させかねない存在なのだから。  どうしようかと悩みながら、突っ立っていた時、一人の学生が視界に入った。     
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