意識暴走―insomnia―3

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 その人物に良いように利用されている悔しさと同時に、思い出したかのように腹部の痛みが襲い掛かってくる。  痛みを感じるということは、まだ生きているということだが、身体を起き上がらせることはできない。  このまま、死んでしまうという可能性は大いにあるが、あの男がそう簡単に殺してくれるとも限らない。  ただ眠らせる為だけに、銃弾をぶち込んできたのかもしれない。  それならば、相手の思惑通りに、事は進んでいきそうだ。  身体は満足に動かせず、眠らないという意思とは裏腹に、瞼は重くなる。  ここで、全てが終わってしまうのか、と諦めかけていた、その時だった。 「……まことくん?」  眼鏡をかけた、白髪交じりの男性が自分に声を掛けてきた。  しかも名前を呼ばれたということは、知り合いなのだろうが、その顔までは確認することができない。 「だ……れ……?」  思っていた以上に、言葉を発することが難しくなっている、自分の状態に驚きを隠せない。  残された時間は限りなくゼロに近く、頼れるのは、自分の事を知っている、この男性だけだった。  自分を抱えている男性の顔に、自らの顔を近づける。 「エレ……ベータ……」  咄嗟に出てきた単語は、自分の持っている能力を最大限に活かすことのできる場所であった。 「エレベーター?」     
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