意識暴走―insomnia―3

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 男性から返された言葉に深く頷いた。  その場所に行きたいことを、じっと男性の顔を見つめる真剣な表情で、察することができたのか、男性は真を自らのコートで包み込んで、負ぶって歩き出す。 「さっきの銃声がまさか、君が撃たれたものだとは思いもしなかった……一体、君の身に何が起きているんだい? あの、世界を包んだ文字……君と関係してるのかい?」  男性の口調、声を聞いて、その正体が分かる。  学校の近くの喫茶店でいつも、コーヒーを飲んでいた、眼鏡をかけた、優しそうな男性。心理カウンセラーをしている、新山(にいやま)雄三(ゆうぞう)だ。  彼の質問に答えようとはするのだが、上手く声が発せられない。  どうにかして言葉を紡ぎ出そうと、足掻いているうちに、新山は足を止めた。  顔を上げて、新山の立ち止まった先の景色を見る。  そこには、見慣れたエレベーターの扉が存在してた。  見慣れているというのは、何度もこの場所に来たことがあるか、同じエレベーターが使われているだけの場所なのか、の二択なのだが、多分、前者であろう。  そこは、新山の勤めている病院のようだった。  車いすの少女と共に(かよ)った、その場所は、真の学校から近いところにある。     
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